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川上未映子
今の日本は将来の夢を描けない時代です。このような時代に、建築でどのような夢を描けるのかと、考えています。私には二つの夢があります。一つが「生命体のように呼吸する建築をつくりたい」という夢です。20世紀は「工業主義的な建築、機械のような建築」が求められました。性能は良いけれども、地上レベルでも地上100メートルでも同じ性能を得られる建築が世の中を埋めてしまいました。私は今、もう少しその場所でしかできない建築をつくれないかと考えています。決して近代以前に戻るということではありません。コンピューターのテクノロジーを使うことで、もう一度手づくりの建築ができるのではないかと思っています